呉先生,北垣先生の大気の低濃度CO2を高速にセメント系材料に固定する手法に関する論文がCement and Concrete Composite公開されました

呉先生,北垣先生の大気の低濃度CO2を高速にセメント系材料に固定する手法に関する論文がCement and Concrete Composite公開されました

Dripping method for boosting CO2 fixation from ambient air

呉先生,北垣先生による,大気の低濃度CO2を高速にセメント系材料に固定する手法に関する論文がCement and Concrete Composite公開されました。ここ1年間ぐらい東大・野口丸山研究室と共同・連名で取り組んできた研究内容であり,いわゆるNEDOムーンショットC4Sプロジェクトにおいて,CCC原材料製造プロセスとして製造することを想定した技術です。(すでに大型化も進んでます)北大がオリジナルで考案した本手法の特徴としては下記のような点があげられます。

  • 世界のコンクリート・CO2固定の研究動向をみると,多くは濃厚CO2や添加剤を使ってセメント系材料へのCO2固定反応速度を改善する研究が多いです。一方で,濃厚CO2を使うためには,実務的に,排気ガスがある場所など限られた場所が多く,コンクリートを輸送するだけで,CO2排出量が増えてしまいます。コンクリートのCO2固定量を評価し,査定することが一般化すると,実際のCO2固定量が大きく目減りする可能性があります。しかし,現状ではそういった点にはあまり目が向けられていないです。
  • 我々の研究室では,このような点を先取りし,濃厚CO2ではなく,大気の希薄CO2をそのまま使うことにこだわってきました。本手法も大気CO2を使い,どこでも放置するだけでCO2の迅速固定を実現できる手法になっています。
  • エネルギーをほとんど使わない。1日一回ある条件で上水を散水するだけである。期間もせいぜい3~7日間と短期間であり,実務上も十分できるレベルである。
  • 試薬,添加剤などを全く使いません。よって安全性に関して特別な懸念が発生しません。
  • 大気暴露開始から3日までは,これまで炭酸化速度がもっとも速いとされてきた「相対湿度60%程度での存置」に比べて,本手法はさらに1.5倍から2倍程度の高速CO2固定を実現します。よって実務的な観点で極めて短期・高速炭酸化を実現した手法となります

https://doi.org/10.1016/j.cemconcomp.2024.105731

2024年8月28日公開で,すでにResearchGateより多数リクエストいただいるようです。世界のコンクリートへのCO2固定,カーボンニュートラルの研究への関心がうかがえます。ぜひご覧ください!

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