我々のグループでは,アミン添加を中心とするCO2固定促進タイプのコンクリートの技術開発を行ってきました。我々が実施している研究は,①既設コンクリートに含浸させる手法(DACコート)と,新設コンクリートの調合に添加する方法(DACコンクリート)の2種類があります。今回は後者の成果です。厚みのある新設コンクリートのCO2固定量を増やしつつ,かつ力学指標の一つである圧縮強度を無添加に比べて改善できる手法を開発した内容です。
一般的にアミンをいれると初期強度が増進するものの,長期強度が無添加に比べてやや低下することがこれまでは報告されてきました。また,長期強度を出そうとすると,最近世界中で盛んにおこなわれているアミンによるCO2固定促進効果が得られない,ということも報告されてきました。つまり,長期強度の改善とCO2固定促進効果にはトレードオフ的な傾向が存在しました。
黎くん,潘さんの研究は,これらのトレードオフを解消する技術的提案を含んだ内容で,かつ,現状のアミン添加タイプのコンクリートに対して,非常に当たり前ですが,経験則ではない理由を持ち込んで実施した実験内容となっています。また,実用化を目指して,LCC的なコストパフォーマンス評価もあわせて実施し,少なくとも国内の通常のコンクリートの価格帯で,どうしたらこのコンクリートが競争できるようになるのか,といったことにも真正面に取り組んだ内容をしています。(それが化学工学という分野で投稿した大きな理由です。)
黎くん・潘さんはD2。まだまだ解析したり,実験したりしてるので,体調に気を付けて,若者らしく進んで行ってほしいです。
https://doi.org/10.1016/j.jece.2025.118658
